色鉛筆画・制作過程(第5回)

前回のステップで後回しにしていた衣の陰影とアウトライン付近の背景が入り、形がはっきりしてきました。

うちには等身大のマネキンが1体あり、布を巻き付けてシワのでき方や光があたったときの影を確認するのに使うのですが、大きく風になびいているシーンは、簡単には撮影出来ないので、脳内シミュレーションと、似たシチュエーションを他の画家がどう描いたか、なども参考にしながら、それっぽく見えるように作り込んでいきます。

こういう「想像で描く要素」が多くなると、必然的にリアリティは下がります。
いわゆる「写真みたい」な絵が目指すスタイルなら、目の前に用意できる物だけで絵を構成するか、せめて個別の写真資料は無いと難しいと思います。
現実には無い世界を描こうとすると、すべての要素で完璧な資料を用意するのは不可能なので、どのくらいのリアリティでまとめるかが大事です。
無理に追求すると、描けば描くほど嘘になってしまいます。
そこのところがちょうどいい絵は、スッと世界に入っていけて、いつまでも見ていたいと感じます。

 
~明日に続く